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最低賃金1,118円、副作用に懸念…中小・零細企業の経営悪化やパート従業員ら「働き控え」拡大の可能性
お知らせ2025.08.05
今年度の最低賃金(時給)の引き上げ目安が4日、過去最大の63円(6・0%)と決まった。長引く物価高を反映した形で、最低賃金の全国平均は過去最高の1118円と初めて1100円台に突入する見通しとなった。ただ、急激な引き上げは「副作用」も伴う。政府は「2020年代に全国平均1500円」との目標を掲げているが、道筋は不透明だ。(社会部 西村魁、経済部 橋爪新拓)
厚生労働省の審議会の協議では、労働者側と経営者側で意見の溝がなかなか埋まらず、事前に公表された4回の日程で結論は出なかった。会合は44年ぶりとなる7回目にもつれ込んだ。
最低賃金は、〈1〉世間一般の賃金水準〈2〉働く人の生計費〈3〉企業側の支払い能力――の3要素を総合的に考慮して決まる。
審議で特に重視されたのが生計費の上昇だ。「最低賃金に近い収入で生活する労働者の生活実態がわかるよう」(厚労省幹部)、平均6・4%上昇(昨年10月~今年6月)した食料品価格など各種物価指標を詳細に分析。こうした作業に時間を割いたことが審議の長期化につながったという。
経営者側の委員を務める全国中小企業団体中央会の佐久間一浩事務局次長は、「各種の指標に対して今まで以上に向き合い、時間をかけながら 真摯しんし かつ丁寧に議論した」と述べた。
経済協力開発機構(OECD)の2024年のデータによると、日本の最低賃金は、フルタイムで働く正社員らの賃金中央値の46・8%にとどまり、フランス(62・5%)やイギリス(61・1%)などに比べて低い。審議では、先進国の中で見劣りする日本の最低賃金水準も検討対象となった。最低賃金と正社員の賃金の差は、非正規労働者と正規労働者の格差を招くため、大幅な引き上げは格差解消にもつながると期待される。
ただ、過去最大の引き上げは5年連続で、中小・零細企業の負担感は増している。中小企業庁の調査では、労務費の増加を販売価格に転嫁できている中小企業は48・6%(今年3月時点)しかなく、さらなる賃金の引き上げは経営の悪化を引き起こす恐れもある。
人手不足に拍車がかかることも懸念される。時給が上がればその分、所得税が課され始める「年収の壁」に短時間で達するため、パート従業員らの「働き控え」が今より広がる可能性があるからだ。
石破首相は昨秋、最低賃金の全国平均を1500円にする目標時期を「30年代半ば」から「20年代」に前倒しした。達成には毎年7%以上の引き上げが必要で、日本商工会議所の調査では、7割の企業が対応について「不可能」あるいは「困難」と回答している。小林健会頭は4日、今回の引き上げ目安決定について、「引き上げ自体に異論はないが、小規模事業者の支払い能力を踏まえれば、極めて厳しい結果と言わざるを得ない」とコメントした。
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