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定額減税を実施しない場合「労働基準法(労基法)」に違反

お知らせ2024.06.13

これでは企業に対する脅しではないか。

 

林芳正官房長官が5月29日の記者会見で、6月の賃金支払時に定額減税を実施しない場合「労働基準法(労基法)に違反し得るものと考えられる」と言い放ったことだ。

 

労基法には、賃金支払いの5原則が定められ、それに沿った対応を企業に義務付けている。

 

(1)通貨で

(2)直接労働者に

(3)全額を

(4)毎月1回以上

(5)一定の期日を定めて支払わなければならない

―を指す。

 

現物ではなく「通貨で」、他人に取られないよう「直接労働者に」、使用者が一方的に賃金を控除しないよう「全額を」、収入が不安定にならないよう「定期的に」支払うことは、労働者の生活を守るためにほかならない。

 

税や社会保険料を賃金から控除することは「全額払い原則」の例外として認められているが、林氏は6月の減税分を賃金として確実に払わないと、この原則に反する恐れがあると言いたいのだろう。

 

労基法は労働者保護を目的に、企業が守るべき労働条件の最低基準を定める労働法制の中核だ。例えば、1日8時間の労働時間や残業代、休憩・休日、年次有給休暇などのルールが規定され、違反には罰金だけでなく懲役もある。賃金支払規定違反には30万円以下の罰金が科される。

 

法令順守を徹底させるために、捜査・送検権限がある司法警察職員として労働基準監督官が目を光らせている。どんな法令も順守するのは当然とはいえ、労基法違反に問われるとしたら、経営者にとっては深刻な事態だろう。

 

林氏は一般論と断りながら「違反が認められた場合、労働基準監督機関が企業に是正指導を行い自主的改善を図ることになり、直ちに罰則が適用されるものではない」と述べたが、労基法を持ち出した時点で十分脅しになっていることに気付かないのか。

 

そもそも企業や自治体は、岸田文雄政権が言い出した政権浮揚策である定額減税を実施するため、煩雑な事務作業に四苦八苦している。

 

事務作業が間に合わず、減税が実施できなかったとしても、一方的に企業を責めることができるのだろうか。政権の都合に振り回される苦労を見ようとしない政権の姿勢は傲慢(ごうまん)にしか映らない。

 

給与明細書に減税額を明示するよう求めていることにも矛盾を感じる。

 

明細書には通常、所得税や年金・医療保険・介護保険などの保険料の控除分が記載されている。何が控除されているか説明が必要だからだが、減税分は控除に当たらない。

 

少子化対策の財源確保のために導入予定の「子ども・子育て支援金」も医療保険料と併せて賃金から引かれるが、岸田政権は明細書記載に消極的だ。新たな負担を国民に求めるなら、記載して理解を求めるのは当然だ。負担を明記しないことこそ「全額払いの原則」に反する。

 

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/332675?rct=shiten

 

 

 

 

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