お知らせ
成人年齢引き下げは未成年者雇用にどう影響するか
お知らせ2022.05.06
2022年4月1日から改正民法の施行により成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
これにより、満18歳以上であれば、携帯電話の購入契約やアパートの賃貸借契約、クレジットカードの作成なども親の同意を得ることなく行うことができるようになりましたが、喫煙、飲酒、競馬・競輪などの公営ギャンブルについては、これまで通り年齢制限が20歳に維持され、国民年金への加入義務が生じるのも20歳からと変更ありません。
では、労働契約については、どうなのか?
労働基準法上、未成年者については、下記のとおり「児童」、「年少者」、「未成年者」の3つの区分が定められています。
① 児童
児童とは、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者、つまり義務教育が修了するまでの者を指します。児童は、原則、労働者として使用することができません。ただし、映画の作成や映像の事業など一部の事業について、一定の要件を満たす範囲内で児童を使用することは認められています。
② 年少者
年少者とは、満18歳に満たない者のことを指します。年少者は、労働基準法により特別の保護を受けます。そのため、使用者は、年少者を雇用する場合、その年少者の年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければなりません。
③ 未成年者
未成年者とは、成年に達していない者のことを指します。民法の改正により成人年齢が満18歳に引き下げられたことにより、2022年4月以降においては、未成年者と年少者が同じ意味をもつことになります。
労働契約は、未成年者であっても親権者や後見人が代わりに締結することはできず、本人が自ら締結しなければならないので、労働契約締結については、これまでと特に変わりはありません。
ただし、未成年取消権がなくなることについて留意する必要があります。
民法では「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」(第5条)と定めており、法定代理人の同意を得ずに締結した契約は、取り消すことができます。未成年者取消権は、本人だけでなく法定代理人も行使でき、未成年者である子が不利な労働条件で働かされている場合、親は子が使用者との間で締結した労働契約を取り消すことができます。
成人年齢の引き下げにより、この未成年者取消権を行使することができなくなりました。
18歳になってから労働契約を締結する場合は、労働条件を予めしっかり確認をして、安易に労働契約を締結しないことが必要です。
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