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どうなる『過労死ライン』20年ぶりの基準見直し注目
お知らせ2021.06.23
脳・心臓疾患等の認定基準について、厚生労働省が20年ぶりの見直しを進めています。
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「過労死ライン」は、発症前の労働時間が原因だったといえるかどうかを判断する目安
発症前1カ月間の残業がおおむね100時間あった場合、または発症前2~6カ月間の月平均がおおむね80時間を超えた場合、業務との関連性が強いと判断されています。
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過労死ラインは、あくまでも脳・心臓疾患の労災認定基準の一つに過ぎず、業務中に受けた大きな精神的ショックや、1週間以内の過重労働で認められることもあり、それらを含めて総合的に判断されます。
しかしながら、近年 過労死ラインが機械的に運用される傾向もあり、労基署による労働時間の認定が厳しくなったこともあって、過労死の認定率が下がってきました。
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そこで、過労死遺族や弁護団は、過労死ラインの引き下げを訴えてきましたが、今年5月WHO(世界保健機関)とILO(国際労働機関)が「週55時間以上の長時間労働で、心疾患や脳卒中のリスクが高まる」という研究結果を発表しました。
週55時間以上の労働は1カ月に換算すると残業が月65時間以上になることから、「過労死弁護団全国連絡会議」や「全国過労死を考える家族の会」は、過労死ラインを月65時間引き下げるよう求めています。
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厚労省の検討会は6月中にも報告書案を公表する予定ですが、月65時間の根拠は不十分とみており、過労死ラインが機械的に運用されているという指摘も踏まえ、より柔軟な認定判断ができるように別の項目を設けたり、事例を示したりする内容にとどめる可能性が高いようです。
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https://digital.asahi.com/articles/ASP6H3HKDP6CULFA00X.html?pn=10