コラム
『106万円の壁』問題解決に助成金制度を10月に導入
コラム2023.08.21
~抜本的な対応は第3号被保険者制度の見直し~
現在社会保険被保険者が100人(来年10月からは50人)を超える事業所では、パートの主婦らは年収106万円を超えると扶養から外れて社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)を新たに支払う必要が生じ、その分手取りの収入が減ってしまいます。
それを回避するために労働時間を調整することで、企業の労働力不足が深刻化している面がありますが、これが、「106万円の壁」といわれるものです。
政府は、この「106万円の壁」の問題解消に向けて、新たな助成金制度を10月に導入する方針を固めました。
この助成金制度は来年からの導入が見込まれていたが、10月から最低賃金が全国平均で1,000円台まで大きく引き上げられることから、働き控えをする人の増加につながりかねないことを懸念し、前倒しで導入することを決定しました。
年収125万円に達すると手取り収入が同水準に回復することから、従業員と協力して労働時間を増やす計画を作成したり、パート労働者の賃上げに取り組んだりした企業に対して1人当たり50万円の助成金を給付することを想定しています。
しかしながら、労働時間が増えても手取り収入が従前と同水準であることを受け入れる従業員は多くないかもしれません。
国がどこまで従業員の手取収入UPに繋がる助成をするかが注目されます。
といっても、「106万円の壁」の本質的な問題は、第3号被保険者制度なのです。
配偶者の被扶養者になっていれば、第3号被保険者として国民年金の保険料は配偶者の厚生年金保険の方から支払われ、健康保険料もかからないので、被扶養者の負担は0となります。
そのため、106万円未満の被扶養者認定基準内で働くよう調整する人が多いのです。
第3号被保険者制度については、段階的解消に向けて、2025年の法案提出を目指す年金制度改革の中で議論される予定です。
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2023/fis/kiuchi/0818
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