コラム
世界主要国「解雇しやすさ」ランキング…解雇しにくい国でお馴染みの日本、驚愕の順位
コラム2022.11.22
ツイッター社、アマゾン、メタ……米IT大手による大量解雇が話題になっています。
アメリカなどに比べ、日本では解雇規制が厳しいというのが一般的な認識だと思われます。
しかしながら、OECDによる解雇規制の強さを指標化した「雇用保護指標」のランキングでは、
42ヵ国中トップは「チェコ」、そして「トルコ」「オランダ」「ポルトガル」「イタリア」と続きます。
日本は、なんと42ヵ国中28位
つまり、どちらかというと「解雇しやすい」国ということになります。
逆に、雇用保護指標の低い、解雇しやすい国はというと、
トップは「コスタリカ」、そして「ウルグアイ」「アメリカ」「スイス」「カナダ」と続きます。
やはり、アメリカは、解雇しやすい国の第3位となっています。
解雇しやすい方に入るとはいえ、日本では、下記のとおり、労働契約法、労働基準法、労働組合法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法などで、解雇に関する一定の規制はかけられています。
(労働契約法)
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
(労働基準法)
第19条 使用者は、労働者が業務上負傷し又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。
(労働組合法)
第7条 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。
(男女雇用機会均等法)
第9条 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同情第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。
(育児介護休業法)
第10条 事業主は、労働者が育児休業の申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に
対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
なぜ、日本が解雇しにくいというイメージなのかというと、雇用するにあたって業務を特定しない雇用契約が一般的だからです。
欧米型の企業のように業務を特定するジョブ型雇用であれば、不採算部門をなくすことが決まれば、自ずとその部門で働く社員は解雇となります。
一方、日本の雇用契約は、いわゆるメンバーシップ型雇用
つまり契約によって、その組織の一員=メンバーとしての地位を与えるというもので、
業務を特定していないので、所属部署を整理することになった場合でも、
他の部署への異動により、社員としての地位を維持し、解雇にならないということです。
しかしながら、近年 日本でも「ジョブ型雇用」が注目されるようになり、
法制面でも、解雇の金銭解決など解雇規制の見直しが進んでいくものと考えられます。
ジョブ型雇用のように、解雇されてもすぐに別の職場が見つかるような専門性を身につけておくことが必要になってくるでしょう。
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https://gentosha-go.com/articles/-/47263
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