コラム
首相「1万人をリスト化」大企業から地方中小に派遣
コラム2021.03.24
22日の経済財政諮問会議で、菅義偉首相は「大企業の人材を地方の中小企業に派遣するため、政府のファンドを通じて金融機関や商社などから早期に1万人規模の人材をリストアップする」と表明しました。
東京の大手金融機関や商社などから地域企業の経営人材として働きたい人をとりまとめたリストから、地方の中堅・中小企業が必要な人材を検索して、働き手と企業のニーズがあえば派遣が成立するというもの。
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確かにニーズが合えば、とてもいい事業ではありますが、大企業と地方の中小企業との賃金・福利厚生そのたの待遇差が埋められるかどうか?
難しい問題もあるでしょう。
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雇用政策については、政府の「雇用調整助成金」が安全網として機能したことで失業率の大幅上昇は回避されましたが、人手不足産業への労働移動を阻害するとの指摘がありました。
この点については、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費を助成する「産業雇用安定助成金」も今年2月に創設されました。
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雇調金の財源となる雇用保険制度の財政も急激に悪化しており、労使の負担が急増するおそれも指摘されています。
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また、「活動自粛で蓄積された潜在的な消費需要」を喚起するには賃上げが必要との見方もあり、菅首相は「(最低賃金を)より早期に全国平均1000円とすることを目指す」と述べました。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF227JD0S1A320C2000000/