コラム
上場企業『雇用調整助成金』調査(2021年2月末時点)
コラム2021.03.25
雇用調整助成金の特例措置も2月末で11カ月となりました。
この間、雇調金を利用した上場企業は690社にのぼるとのこと。
全上場企業3852社のうち、17.9%が雇調金の特例措置を活用しています。
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【申請社数】2月は新たに42社判明
上場企業の雇調金申請社数は1月末から42社増の690社
計上額は680億500万円増の3558億5110万円
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【業種別】社数、サービスが小売抜く
690社の業種別では、
① 製造業が268社(計上額763億5200万円)
② 観光を含むサービス業134社(同709億1210万円)
③ 小売業131社(同614億770万円)
④ 運送業44社(同1158億4820万円)の順
全上場企業に対する利用率
① 小売業が36.7%
② 運送業35.2%
③ サービス業25.4%
④ 製造業は17.9%
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【計上額別】「100億円以上」が3社
690社中、計上額別では
① 1億円未満で(289社→274社)(構成比39.7%)
② 1億円以上5億円未満が(188社→222社)(同32.2%)
③ 5億円以上10億円未満(55社→61社)(同8.8%)
④ 10億円以上50億円未満(51社→59社)(同8.5%)
⑤ 50億円以上100億円未満(7社→9社)(同1.3%)
⑥ 100億円以上(1社→3社)(同0.4%)
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雇用調整助成金の特例措置も4月末で終了
5月以降は企業の経営状態と地域の感染状況で差をつけ、「直近3カ月の売上高などの指標が30%以上減少」した場合や「まん延防止等重点措置」の対象地域の外食店などでさらに6月末まで延長されますが、該当企業以外は段階的に支給率・上限額が引き下げられる予定です。
上記該当企業以外は、5~6月の2か月間の措置として上限1万3500円、助成率9/10に縮減されます。
さらに、7月以降は、雇用情勢が大きく悪化しない限り、特例措置がさらに縮減される予定です。
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上場企業の早期・希望退職もハイペースで、今年1月から3月18日までに前年同期を19社上回る40社で実施を発表、募集人数は、前年同期(4497人)の2倍以上となる9314人を数えています。
ワクチン接種も進みつつありますが、感染リスクの回避や外出自粛で消費マインドの急回復は期待できず、コロナ前の業績回復が難しいB to C業種や労働集約型の企業を中心に、最後まで雇調金の特例措置を活用する企業は増えるとみられています。
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TSR東京商工リサーチ:
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210323_04.html