コラム
雇用調整助成金コロナ特例、3月末ですべて終了 厚労省
コラム2023.03.01
コロナ禍により売上が減少し、事業活動を縮小し、従業員に休業手当を支払った企業に支給する雇用調整助成金のコロナ特例を、3月末ですべて終了することが決まりました。
雇調金の支給総額は6兆円を超え、本来の雇調金向けの財源だけでは足りず、失業等給付のための積立金からの借り入れや、さらには一般会計からの繰り入れも余儀なくされました。
これだけの莫大な雇用保険料や税金を使い、確かに雇用の下支えの役割は果たしましたが、労働力の円滑な移動を阻むという副作用も生じました。
つまり、企業が雇調金を支えに従業員を抱え込む「雇用保蔵」が起き、情報通信などのデジタル分野や介護、医療といったサービス需要が拡大する産業への人材移動を阻害したと指摘されています。
雇調金の特例措置は、支給対象かどうかを決める売上高の落ち込みに関し、コロナ禍前との比較を認めるなどしていたのを改め、前年水準との比較とします。
また、1人あたりの1日の支給上限額を1万5000円まで引き上げていましたが、これはすでに今年2月から通常の8355円に戻しています。
さらには、雇用保険の被保険者以外の労働者も助成対象としていた特例も3月末で終了します。
米国と英国はコロナ禍に対応した特別な雇用支援策を21年中に終了しており、欧州では労働者による新たなスキル取得の支援を充実させ、労働力の円滑な移動や産業の新陳代謝に成功している国も多いとのこと。
雇用維持支援ばかりに重点を置いた日本の政策には、大きな問題があったと言わざるを得ないでしょう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2738T0X20C23A2000000/