コラム
「転勤拒否で解雇」の元社員和解 NEC系 大阪高裁
コラム2022.09.07
小学生だった長男の病気や母親の介護を理由に転勤に応じなかったことで懲戒解雇とされた事件
NECソリューションイノベータの元社員の男性(56)が同社に慰謝料100万円や賃金の支払い、解雇の無効確認を求めた訴訟で、会社側が解決金約420万円を支払うことで和解が成立しました。
会社からの転勤命令に対して、家庭の事情を理由に転勤命令に従わなかった従業員に対し、会社が業務命令違反により懲戒解雇とした懲戒免職処分の有効性が争われた事案については、「東亜ペイント事件」(最高裁S61.7.14)があります。
この裁判では、次のように判示されています。
【前提条件】
・会社の労働協約・就業規則には従業員に転勤を命ずる旨の定めがあること
・会社は全国に営業所等があり転勤が頻繁に行われていること
・従業員との間で就業地域を限定する合意がなかったこと
【特段の事情】
・転勤命令が使用者の権利濫用と認められるような特別な事情、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合
・業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき
・労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき
上記前提条件のもとで、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないとされています。
さらに、最高裁は、転勤の業務上の必要性について、
余人をもっては容易に替えがたいという高度の必要性に限定することは相当ではなく、
企業の合理的運営に寄与する点が認められれば、必要性は肯定できるとしています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF068D40W2A900C2000000/