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コラム

「過労医ライン」を月に125時間も超過 高度プロフェッショナル制度導入で働きすぎ助長の懸念が現実化

コラム2022.07.20

「高度プロフェッショナル制度」(以下「高プロ」という)はホワイトカラーエグゼンプションとも呼ばれ、年収1075万円以上(通勤費等あらゆる手当を含む)の一定業種に該当する労働者を労働基準法の労働時間、休日等の規制の対象外とするものです(ただし4週間に4日、1年間に104日の休日は必要)。

 

従って、残業手当や休日出勤手当等の支払いが不要になり、「残業代ゼロ法」、「脱時間給制度」とも揶揄されています。

 

 

この高プロ対象の労働者で、労働時間が月間400時間以上だった人が、2カ所の職場でいたことが厚生労働省への報告で明らかになったとのこと。

 

当初から懸念されていた問題が現実化したということでしょう。

 

 

高プロ制度は労働時間と関係なく報酬を成果だけで決めたい経済界の要求を受けて、「世界で最も企業が活動しやすい国」を掲げた当時の安倍晋三政権が成立させた、まさに “規制緩和を進める新自由主義の象徴的政策” です。

 

 

さらに、年収1075万円以上といえば、一見高額に見えますが、この要件はあとから国会の議決を要しない省令で変更することができますから、減額することが可能です。

 

経団連は400万円の年収要件を主張しており、労働側は、年収要件が徐々に引き下げられて対象範囲が拡大することを懸念しています。

 

この制度が実施されているアメリカでは年収要件が約200万円にまで引き下げられ、ほとんどの労働者に残業代が支払われない状態になったことから、批判されています。

 

厚労省の調査でも、健康管理時間が最長だった人の時間と職場平均だけを報告させており、異常な長時間労働者が何人いるか報告させておらず、時間外労働が100時間を超えた労働者は医師との面接が必要ですが何人いたかも厚労省は「把握していない」という杜撰さ。

 

今一度 高プロ対象者の実態を厳しく調査して、過労死を引き起こさないような対策を講じ、また「裁量労働制」の営業職などへの拡大論議とも併せて、早急に慎重な論議が求められるところです。

 

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/190657

 

 

 

 

 

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