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コラム

解雇の金銭解決、日本も動き 柔軟な設計で新陳代謝促せ

コラム2022.06.08

「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」解雇は無効になる(労働契約法16条)

 

日本では、解雇規制が厳しく、解雇のハードルは非常に高いものでした。

 

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しかしながら、欧米では一般に、「解雇の金銭解決」が柔軟に認められています。

 

以前にも当HPで投稿したことがありましたが、この金銭を支払って雇用契約を解消する「解雇の金銭解決制度」について、やっと日本でも、厚生労働省の労働政策審議会で導入の是非の議論が始まりました。

 

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そして、4月に、有識者検討会「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」によりその報告書が纏められました。

 

それによると、通常の裁判や労働審判で解雇が無効とされた場合に、労働者からの申し立てにもとづき、金銭補償により雇用契約を解消できるようにする制度を想定し、解雇が不当と判断されて無効となった際、もとの職場に復帰する以外の道を労働者が選択しやすくすることを主眼としているとのこと。

 

性別や年齢、信条などを理由とする差別的解雇といった反社会的な解雇は原則、制度の対象外になり、もちろん妊娠、出産や内部通報などを理由とした解雇は認められません。

 

これは、欧州諸国の解雇の金銭解決制度でも同様です。

 

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こうした社会規範に反するケース以外の解雇を、どこまで金銭解決の対象として認めるかということですが、欧米では、解雇無効の司法判断を経ずに、もっと柔軟に金銭補償で雇用契約の解消が認められています。

 

日本の有識者検討会が想定している労働者からの申し立てだけに限らず、雇用者からの申し立てによる金銭解決を制度化している国も少なくありません。

 

しかしながら、日本においては、高度成長期に終身雇用の慣行が定着し、企業は解雇の回避に極力努めなければならないという社会的コンセンサスができあがり、解雇への抵抗感が強いことから、ある程度時間をかけてソフトランディングすることがひつようなのかもしれません。

 

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現在在籍している会社で、能力が発揮できていない労働者が、別の会社に移って能力を発揮できれば、労使双方にとって喜ばしいことであるのは言うまでもありません。

 

ただ、雇用者側から解雇を申し立てた場合は、解雇によって失われた逸失利益の補償という問題が発生します。

中途退職によって失われた逸失利益が、新しい会社で得られるという保障はありません。

そのあたりをどこまで労働者と雇用者が負担するかのルールをどのように定めるか。

 

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その負担軽減策として、神戸大学の大内伸哉教授の提案する「解雇保険」というアイデアも一つの方法です。

つまり、「労働者災害補償保険(労災保険)と同様に企業から保険料を徴収し、解雇する労働者への補償金に充て、各社の負担額を平準化する」という方法

 

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様々な問題はありますが、今の日本の解雇規制のままでは、企業内の人材の新陳代謝が進まず、欧米諸国に比べて、付加価値創出力が低下していくばかり。

 

「解雇自由化」とまではいいませんが、「解雇の金銭解決」制度は、早急に取り入れる必要があるでしょう。

 

 

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD3077M0Q2A530C2000000/?unlock=1

 

 

 

 

 

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