コラム
経済が回復中なのに雇用悪化、全体の統計では見えない零細企業の窮状
コラム2020.12.17
大企業では、4~6月期を底に、業況は改善しているようですが、零細企業では、春に比べて状況はむしろ悪化しています。
大企業(資本金10億円以上)の売上高は4~6月期の116兆円から7~9月期の126兆円へと増加し、対前年同期比で見ても、17.6%減から7月期の11.7%減へと大きく改善しています。
この結果、営業利益の対前年同期比も、46.8%減から30.4%減に改善されています。
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ところが零細企業(資本金1000万~2000万円)について見ると、事態は大企業の場合とは大きく異なり、同期間に売上高は38兆円から37兆円に減少しており、対前年同期比も4~6月期の14.2%減から7~9月期の14.6%減へと悪化しています。
売上高や利益は大企業のほうが圧倒的に大きいので、全体としては改善しているように見えますが、零細企業は悲惨な状況です。
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また、労働市場に関しては事情が異なります。
なぜなら、労働者数では、2020年7~9月期で全産業では大企業が743万人に対して零細企業が880万人と、大企業よりも零細企業のほうが多いので、全体として雇用情勢は「悪化」という結果にななります。
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というわけで、全体としては、経済が回復しているのに、雇用情勢は悪化ということになるわけです。
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したがって、零細企業においては、業況も悪化、雇用情勢も悪化、ということになっています。
これまで政府の経済対策により何とか持ちこたえて来た零細企業ですが、徐々に息切れ状態
今後、零細企業においては、業況も雇用情勢もさらなる悪化傾向が強まることが懸念されます。
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https://diamond.jp/articles/-/257473