コラム
厚労省、年金改革へ5案検証 パートほぼ全員加入案など
コラム2024.04.16
配偶者の被扶養者の範囲で働く方が得、
零細事業場で働けばパートの加入は免除される・・・
こういったことから、
労働時間を増やせるのに増やさない
働き手も多いはずです。
厚生年金の加入要件を緩和して、
全ての労働者が
それぞれの収入に応じて
社会保険料を負担すれば、
公平性を保つことが可能です。
厚生年金の加入要件の緩和は
「年収の壁」問題を解決し、
労働力不足の解消にも寄与します。
厚生労働省は16日、2025年の年金制度改革に盛り込むべきか検証する5項目を発表した。パートタイマーのほぼ全員が加入可能となる厚生年金の加入要件緩和などを対象とした。各項目について将来の給付水準や事業主側の拠出といった影響を試算したうえで採否を判断する。
政府は公的年金制度を5年ぶりに改革するにあたり、変更による給付額などへの影響を算出する。このシミュレーションは「オプション試算」と呼ばれており、今回は厚生年金の加入対象拡大を含めて5つのシナリオを採用した。
具体的には①厚生年金の加入要件の緩和②基礎年金の保険料納付期間の延長③基礎年金の給付抑制期間の短縮④在職老齢年金制度の見直し⑤保険料算出の基準となる標準報酬月額の上限引き上げ――の5項目だ。
厚生年金に短時間労働者が加入するには現在は従業員101人以上の企業に勤務しているほか、週20時間以上働き、月収が8.8万円(年収換算で106万円)以上といった条件を満たす必要がある。10月からは51人以上の企業に拡大する。
今回は企業の従業員規模の要件を撤廃したうえで、就労時間や月収が一定水準を超える全員が加入可能になった場合の将来の給付水準を計算する。パートタイマーでもほとんどの人が基礎年金だけでなく厚生年金ももらえるようになる一方、事業主側の拠出は増える見通しだ。
基礎年金の保険料納付期間を巡っては現行の40年間(20〜60歳)を45年間(20〜65歳)へ延長することで給付額がどれくらい上がるかを試算する。保険料負担は増すものの、将来もらえる年金額が多くなることの是非を議論する。
基礎年金の給付額に関しては「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みによって抑制される期間が厚生年金よりも長い。この期間を厚生年金の財政から基礎年金の財政への拠出額を増やすことで短縮し、年金額がどれくらい増えるかをみる。
働く高齢者の厚生年金受給額を減らす「在職老齢年金制度」の見直しも議題とする。現在は賃金と厚生年金の合計が月50万円を超えると年金が減額となるため「働き損」を敬遠して就業時間を調整する人がいる。高齢者の就業促進に向けて制度を廃止・緩和した場合の効果を調べる。
会社員や公務員の社会保険料は「標準報酬月額」と呼ばれる基準額に保険料率18.3%を掛けた分になる。負担が過大にならないように上限が設けられており、月給がどんなに高くても厚生年金の標準報酬月額は65万円より大きくならない。
この上限額を引き上げた場合の影響も確認する。対象となる人の将来受け取る年金が増えるだけでなく、保険料収入が拡大することによって全体の給付水準も高まる可能性がある。
いずれの改革にもハードルがある。厚生年金の加入拡大については、事業主側の拠出負担が増えるためパートタイマーの割合が多い業界団体から段階的な措置を求める声が根強い。
基礎年金の納付期間延長は財源の半分を占める国庫負担が増すと指摘されている。在職老齢年金制度は廃止した場合、将来の給付水準が減ることが前回の試算で示されている。
試算対象とする5項目は厚労省が16日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で提示する。試算内容は公的年金の持続性や給付水準を点検したうえで夏に発表する「財政検証」に盛り込む。
厚労省はこの財政検証を基に具体的な年金制度改正案を年末までに詰め、25年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。試算対象にした項目でも改正案に反映されない可能性はある。試算対象外の内容が改正案に入ることもありえる。
厚生年金の適用拡大については、5年前の財政検証でも企業規模要件や賃金要件の廃止に関する試算をした。実際に実現した改正は企業規模の要件緩和にとどまった。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA15AIM0V10C24A4000000/
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