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コラム

22年春闘「満額回答」多数でも、このままでは“安いニッポン”が続くワケ

コラム2022.04.07

20年間で同世代の所得が100万円減少

 

 

(1)3月25日時点の、今年の労使交渉の集計状況

今年の春闘は、経営側である日本経団連が「各企業が自社の実情に適した賃金決定を行う」。つまり業種横並びや一律的な賃金引き上げを検討しない方針を打ち出しました。

 

そした、自動車・電機業界などを筆頭に、大企業では満額回答の企業も多く、大企業を含めた1237組合の3月25日時点での集計結果は、次のとおりです。

 

 

 

 

平均の取り方には単純平均と加重平均があり、前者は対象者の賃上げの総額を総人数で割った値であり、加重平均とは組合ごとに平均をとり、その総額を組合の数で割った値ですが、上記の額の6452円と率の2.13%は、加重平均の値です。

 

21年と比べると、額で937円、率で0.32ポイントの増加となっています。

 

図1は大企業から中小企業を含む平均で、300人未満の中小企業の回答集計を図2のとおりです。

 

 

 

 

 

上記の図1と図2のとおり、今年の賃上げは全体として増加しているように思われますが、3月25日公表は第2回目の集計であり、満額回答した企業などの業績のよい企業の平均値で、今後はこの値に業績の厳しい企業の値が加わり、回答集計が重なるごとに平均賃上げの値は減少していく傾向にあります。

 

(2)20年間で同世代の所得が「100万円以上減少」

22年3月3日に政府の経済財政諮問会議から、30代半ばから50代半ばの世帯所得が、20年前の同世代と比べて100万円以上減少しているという調査結果が報告されました。

 

これはバブル崩壊後の1994年と2019年を比べた結果で、35~44歳の世代では104万円減少し、45~54歳の世代では184万円も減少しています。

 

実はこれは2000年ごろから予測されていたことであり、下記のとおり日本の失われた20年間における賃上げ状況から読み取れます。

 

図3 過去60年間の賃上げ状況

 

 

 

 

1960年台から日本は高度経済成長時期に入り、70年代の賃上げは、額で1万~1万5000円程度です。

突出した上昇を示しているのは、74年のオイルショックによるもので、この年は、1回の賃金で2万円以上の賃上げがありました。

それ以外の年は、多少の変動はあるものの、1万~1万5000円の賃上げがあり、約20年間続きました。

 

90年頃になると、バブル経済の崩壊により構造的な経済不況に突入し、賃上げ額と率がともに下降を続け、2000年頃には賃上げ額で5000円台、率で2%を割る時代に突入し、その後上昇することなく現在に至っています。

 

(3)世代別に見た45歳までの昇給額の相違

大卒者22歳が45歳になるまでは23年間あるが、23年の間、毎年の昇給額が「1万円」か「5000円」かでは、その累積額に明らかな差が生じます。

 

そこで図3のデータを基に、1971~94年まで、1980~2003年まで、1998~2021年までの3ケースについて、その間の昇給累積額を計算した結果が図4のとおりです。

 

 

 

 

 

生産労働者の中核年齢である45歳を想定し、22歳から23年間を計算の期間条件としました。

その結果、1971~94年までは30万6235円、1998~2021年までは23万9288円、1998~2021年までは13万3671円となりました。

 

かつて日本経済の高度経済成長時期である1970~90年代の約30万円上昇に対して、2000年代はその3分の1の10万円台に縮小しています。

つまり賃金上昇分が月例賃金ベースで約20万円も下落したことになります。

 

 

(4)考察

今年の賃上げ労使交渉の最新情報では、平均6000円半ばである。昨年に比べれば若干高めであるが、失われた20年の2000年以降の昇給の領域を脱しているとはいえず、仮に6500円が23年続いたとすると、その累計は14万9500円であり、以前の額には程遠い。

 

日本の賃上げはこのままのペースで続くのだろうか。若い人は将来に夢をもつことができるのだろうか──。経済力の基本となる賃金について、経営者は深く考える必要があるでしょう。

 

 

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2204/07/news058.html

 

 

 

 

 

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